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Spinal Cord Injury
脊髄損傷による後遺症(麻痺・感覚障害など)の背景と、幹細胞培養上清液がこの領域でどのように研究されているのかを、当院の考え方とともに解説します。
Pathology
脊髄損傷は、事故や転落・転倒などで脊椎に強い衝撃が加わり、その中を通る中枢神経である脊髄が傷つく疾患とされています。損傷直後の物理的な破壊(一次損傷)に続いて、数時間から数週間かけて周囲の炎症や細胞死が広がる「二次損傷」が起こるとされます。また、損傷部位が治癒する過程で硬い組織(グリア瘢痕)が形成され、これが神経の再生を妨げる要因になると指摘されています。脳からの指令や手足からの感覚の信号がこの部位で遮断されることが、麻痺や感覚障害の背景にあると考えられています。
Mechanism
一般に、幹細胞培養上清液には数百種類の成長因子・サイトカインや、情報伝達物質であるエクソソーム、その内部の miRNA が含まれるとされています。脊髄損傷に関わる病態(二次損傷・回路の断絶・ミエリンの障害)に対して、これらの成分について次の3方向の働きが研究されています。
① 二次損傷を抑える方向(抗炎症・神経保護)
TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)や各種インターロイキンなどの抗炎症に関与するとされる成分が、損傷部位の過剰な免疫反応を抑える方向に働くと研究されています。これにより、神経細胞の連鎖的な細胞死(二次損傷)を抑え、残された神経を保護することに関与しうると考えられています。
② 神経突起(軸索)の伸長の後押し
NGF(神経成長因子)や BDNF(脳由来神経栄養因子)などが、途切れた神経の配線(軸索)の伸長に関与すると研究されており、断たれたネットワークの再接続を支えることが期待されています。
③ ミエリン(神経の絶縁カバー)の再形成
神経の配線は「ミエリン」で覆われることで信号を速く伝えるとされます。上清液の成分が、ミエリンを形成する細胞(オリゴデンドロサイト)の働きに関与し、神経伝達の回復を後押しすることが研究されています。
※上記は成分に関する情報および一般的な作用機序の説明であり、脊髄損傷への効果を保証・示唆するものではありません。
Evidence
当院が採用する骨髄由来幹細胞(BM-MSC)の上清液は、エクソソーム専門の独立解析機関であるテオリアサイエンス株式会社の解析により、含まれる成分が定量されています。
出所や中身が不透明な製品と異なり、「どの成分が、どの程度含まれるか」が分子レベルで把握されている点が特徴です。上に挙げた miRNA も、この解析で実際に検出・定量されているものです。これは成分に関する客観的な情報であり効果を示すものではありませんが、中身が科学的に確かめられていることは、治療を検討するうえでの判断材料になります。
Timing
脊髄損傷に対しても、当院では「受傷後2年以内」を一つの目安(推奨条件)と考えています。受傷から2年以内は、損傷部位周辺が完全には固定化しておらず、脳や脊髄の可塑性(変化・修復する力)が残されている可能性が高い時期とされます。この時期に専門的なリハビリテーションと組み合わせてアプローチすることで、機能やQOL(生活の質)の改善が期待されると考えられています。時期が経過している場合でも状態により検討できることがありますので、まずはご相談ください。
Eligibility
目安となる条件
全身状態が安定していること(重篤な感染症や活動性のがん、制御困難な合併症がないこと)。ご本人または代諾者の方が、内容について十分な説明を受けたうえで書面で同意いただけること。
お受けいただけない場合があります
重度の臓器不全(心不全・腎不全・肝不全など)がある場合。過去に幹細胞関連の治療で重篤なアレルギー反応・副作用が生じたことがある場合。
Reference
日本脊髄障害医学会の2018年の全国調査によると、外傷性脊髄損傷の発生率は人口100万人あたり年間約49人(年間およそ6,000人)で、1990年代初めの調査と比べて約2割増加しています。受傷年齢の中央値は70歳で、高齢化に伴い、転倒による受傷や頚髄損傷の割合が増えているとされます。
出典:日本脊髄障害医学会「外傷性脊髄損傷 全国疫学調査(2018年)」。
Glossary
Flow
Consultation
現在の治療やリハビリと組み合わせられるか等も、カウンセリングでご相談いただけます。
押しつけがましい勧誘は一切行いません。